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武蔵野音楽学園

楽琵琶

薗田 治子

製作者不詳 1750年頃 日本 4弦 全長106cm

平家、薩摩、筑前等、後代の琵琶と区別するために、雅楽で用いる琵琶というほどの意味で、楽琵琶または雅楽琵琶と呼ばれている。また平安末期には、藤原師長が著わした解説書〈三五要録〉のように、全長の三尺五寸に因んで「三五」と呼ばれたこともあった。しかし当時も今も、特に区別する必要がなければ「琵琶」が正式な呼称である。
雅の時代には、身分の高い男子のたしなみとして重用され、〈源氏物語絵巻〉でも、二条院で匂宮の奏でる琵琶の音に耳を傾ける中の君が描かれ、他にも様々な場面に重要な小道具として登場している。
元来は、独奏、伴奏、合奏と多様な用途をもち、平安時代前期の遣唐使であった藤原貞敏は、〈流泉〉〈啄木〉等の琵琶独奏曲を学んで帰国している。しかし、希少な曲と思いやるあまり、そうした独奏曲を門外不出の秘曲として扱い、限られた楽士のみの間で伝承してきたために、鎌倉時代には消滅し、今日のように雅楽の管弦合奏のみで用いられる楽器になってしまった。
本家の中国では、琵琶は半音階が演奏できるように改良されて、超絶技巧を披瀝する近代的楽器へと変身し、往時の面影をわずかに残すのみとなっている。また、隣の韓国に伝えられた唐琵琶も、すでに歴史の遺物となってしまった。しかし我が国では、伝来のままの形を残し、おそらく奏法もそれほどの変化をせずに伝承されている。それぞれの国でそれぞれの運命を辿ってきた楽器「琵琶」。その足跡もまた人の歴史と同様、万状の物語を語りかけている。
(武蔵野音楽大学楽器博物館所蔵)