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武蔵野音楽学園

ヤンコ・ピアノ

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A.H.フランケ作 1887年 ドイツ 音域A2-a4 高さ131cm

ピアノやオルガンの鍵盤は、12平均律における幹音(白鍵)と派生音(黒鍵)を視覚的・感覚的に直観できる点で、ヨーロッパ人が開発した楽器システムの中でも、最も理想的なものの一つといえよう。しかし、ハンガリー生まれのピアニスト・数学者であるヤンコ(Paul von Janko)は、1882年に新型の鍵盤を考案し、この鍵盤システムにあえて改良を試みた。ヤンコ・ピアノは、ハンマーアクションなどの内部機構は従来のピアノと同様だが、鍵盤だけがヤンコの考案した独自な方式で作られている。

この鍵盤は6列で構成され、横の列は全音に、斜めの列は半音に配列されている。1オクターヴは2列の中で12音に分割され、この2列で鍵数は当時標準の85鍵を数える。鍵盤はこの85鍵の2列を3組配置する。従って同音が必ず3つ存在するために、それらは連動し、同時に押さえることはできない。

この配列の鍵盤は、どのキイを始点にしても、その列と隣接する列とで、全く同じ形の半音階が得られることから、奏者はどの調へも同じ指使いで移調ができる。また、鍵盤に階段状の段差があることから、奏者は常に自然な手の形を維持でき、親指の運指にも無理がない。さらに、キイの幅を狭くしたことで、広い音域での和音演奏が可能になり、角が丸いキイの形状から、隣接のキイを同時に押してしまう危険が回避できる。

彼の発明した鍵盤は、発表当時は人々の評判になり、欧米でブームを引き起こした。ニューヨークではヤンコ音楽院が、ウィーンではヤンコ協会が設立された。しかし、新たな演奏技術の取得が必要なことから、その流行は短く、普及にはいたらなかった。 (武蔵野音楽大学楽器博物館所蔵)