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武蔵野音楽学園

ポケットグランドピアノ

薗田 治子

R.ウォルナム作 1830年頃 ロンドン 奥行き156cm

ポケットグランドピアノは、ロンドンのウォルナムが19世紀前半に考案した、特殊な構造を持つピアノである。この楽器は、グランドピアノの上部にアップライトピアノの背面を結合したような形になっている。ウォルナムは、グランドピアノが構造的に持つ問題を解決するために、この楽器を製作した。

グランドピアノの内部は、下からハンマー、響板、弦の順に配置されており、ハンマーは、響板上に張られた弦を打ち上げて発音する。したがって、この打弦により、弦には常に響板から浮き上がる方向に力が加わる。当時の木製フレームのピアノでは、この圧力により、弦と響板とをつなぐ駒などの部位の接着が不安定になるといった問題があった。一方、アップライトピアノは、ハンマー、弦、響板の順に配置されているため、弦は響板に向かって打弦されることから、このような問題が発生しない。そこでウォルナムは、グランドピアノのハンマーアクションの上部に、アップライトピアノのフレーム部分をかぶせた形で配置した楽器を製作し、「ポケットグランドピアノ」と命名した。

ウォルナムはアップライトピアノに関する多くの特許を取得したことで知られる。ポケットグランドピアノは、ピアノの改良に精励したウォルナムが生み出した、創意工夫に富む楽器といえるだろう。(武蔵野音楽大学楽器博物館所蔵)