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武蔵野音楽学園

フルート

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T.ベーム作 1832年頃 ミュンヘン 全長67cm

19世紀は、多くの楽器にとって改良と機械化の時代であった。木管楽器もその例外ではなく、より正確な音程、より均一な音色、より優れた材質の追求といった、様々な展開がなされたが、中でもフルートほど劇的にその形態を一新させた例は他には見あたらない。フルートは一人の才能豊かな楽器製作者により、一挙に理想的な姿を授けられた。

 19世紀半ば、ドイツのフルート奏者・製作者であるテオバルト・ベームは、フルートに革新的な構造改革を行い、今日「ベーム式」と呼ばれ、最も広く普及するフルートを完成させた。ベームはこの改革を大きく2回に分けて行っている。まず、彼は最初の改革で、トーン・ホールを大きくすることが、フルートの音量を増大させ、なおかつ音程と音色を改善する効果があることを発見したことから、フルートの音孔を拡大し、それらを音響学的に正確な位置に設定し直した。そして、その配置に合うように、金属棒に連動するリング(指輪型)・キイを採用した全く新しいキイ・システムを考案した。

 さらに次の改革で、やはり音響学的見地から、それまでの木製円錐管フルートを金属の円筒管に一新させるとともに、リング・キイを、拡大した音孔を確実に塞ぐことのできるカヴァード・キイに替えた。これにより遠隔転調と音色効果の追求による多様な半音の変化に対応し、同時にコンサート・ホールの拡張に伴う音量増大の要求にも応える、理想的なフルートの形態が確立した。
 
 写真の楽器はベーム自身が製作したフルートで、1832年に行われた彼の最初の改革を検証する、貴重な資料である。 (武蔵野音楽大学楽器博物館所蔵)