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武蔵野音楽学園

ティンパニ

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18世紀 ドイツ 直径 右54cm・左51cm

「あのように巨大な鍋に似て、馬の背に乗せて運ばれる太鼓は、いまだかつて見たこともない」—1457年、ハンガリーの王ラディスラウスV世が、フランスのシャルル王の娘マドレーヌを妃として迎えるためにパリに送った使節団を見て、フランスのブノア神父は驚きのあまりこう言った。17歳の若き王は、13歳の王女との結婚を目前にして病に倒れ、不慮の死を遂げてしまったが、使者500人以上、馬700頭という大行列は、ヨーロッパの人々にセンセーションを巻き起こした。中でもとりわけ目を惹いたのが、26台の荷車を曳く馬の背に乗せられた大きな太鼓であった。

ヨーロッパでは、13世紀頃に中東から小型の鍋型太鼓が伝わり、肩や腰に吊るしたり地面に置くなどして使用した。一方オスマン帝国では、軍楽隊が大型の鍋型太鼓を馬や駱駝の背に乗せて演奏したが、これが15世紀に西ヨーロッパに伝わり、ティンパニが誕生した。

ティンパニは、まずドイツ語圏の軍楽隊により、伝統的なオリエントの習慣に従ってトランペットと対で演奏された。その後もヨーロッパ各地の軍楽隊や騎兵隊に普及し、トランペットと共に部隊の花形楽器となり、奏者にも名誉が与えられた。17世紀には、オーケストラへ導入されたのを機に馬から降ろされ、鉄のスタンドが付けられた。19世紀になると、現在の楽器のような調律機構が考案されていった。写真の楽器は四角いネジを工具で回して膜の張力を変化させるもので、18世紀のオーケストラでは最も一般的に演奏されたタイプのティンパニである。(武蔵野音楽大学楽器博物館所蔵)