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武蔵野音楽学園

サックバット

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A.ライヒアート作 1602年 ドイツ 全長110cm

トロンボーンは、その名称が「大きなトランペット」を意味するように、トランペットから派生した楽器である。中世期、十字軍の戦利品としてイスラムから直管のラッパがヨーロッパに伝わると、楽器保持の便宜から次第に管が曲げられ、15世紀には自然倍音以外の音を出すために、管の長さを自由に変化できるスライド・トランペットが考案された。このスライド・トランペットからトロンボーンが生まれ、当時は「引く・押す」の意味で「サックバット」と呼ばれた。

サックバットは声楽の伴奏に適す楽器として、もっぱら教会で使用された。当時の教会音楽は、複数の声部による流麗な旋律を特徴とするポリフォニー(多声音楽)様式の盛期であった。そのような中で、サックバットのスライド・システムは微妙な音程の変化にも対応することが可能で、声楽の旋律に完全に合わせることができる。この楽器はコルネットと共にアンサンブルを組み、主にアルト、テノール、バスが使われ、それぞれの楽器が合唱の各声域をユニゾンで伴奏した。

サックバットは16世紀から18世紀に至るまで、教会以外ではほとんど演奏されなかった。そのためにオーケストラへの導入が遅れ、作曲家がこの楽器の豊かな表現力に気付くのは、18世紀後半まで待たねばならなかった。トロンボーンが初めて交響曲に使用されたのはベートーヴェンの交響曲第5番「運命」である。一説ではトロンボーンは「神の楽器」と呼ばれたという。その理由には、この楽器のハーモニーの美しさと共に、長年にわたり教会の楽器として敬われてきた経緯も関係しているのであろう。(武蔵野音楽大学楽器博物館所蔵)