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武蔵野音楽学園

ユーフォニコン

ユーフォニコン
ビール&スチュワード製 ロンドン 1845年頃 幅115cm

ユーフォニコンは、ロンドンのジョン・スチュワードが1841年に考案した、弦を張る鉄のフレームがキャビネットの外側に張られたアップライトピアノである。この楽器は、ハープ型のフレームが本体から直立して突き出ているタイプが一般的で、その形状から「ハープピアノ」とも呼ばれる。しかし、写真の楽器は通常のアップライトピアノに近いスタイルで、ユーフォニコンの特殊な例として注目することができる。ユーフォニコンは、金属フレームを視覚的に活用したもので、ピアノの装飾性を強く意識させる目的で登場したと考えられている。

ヴィクトリア女王が統治したヴィクトリア朝時代(1837~1901)のイギリスは、産業革命による経済の発展が頂点を極め、その国力から「太陽の沈まない国」と呼ばれた。この時代は英国文化の最盛期で、ターナーやワッツなどの画家が輩出され、ドイルやディケンズなどの作家が活躍した。特に上流階級の人々の間では、自宅のサロンで茶会を開くことが流行し、そのサロンには意匠を凝らした家具や絵画などの美術品が不可欠であった。そのような中で、ピアノはサロン用の楽器として急速に普及し、イギリスのピアノ・メーカーは市場獲得のために次々に新たなスタイルのピアノを発表した。ユーフォニコンもそのような当時の風潮が生んだ楽器で、目新しいアップライトピアノは、サロンを訪れた人々の目を惹いたに違いない。

写真のユーフォニコンは、金属フレームが優美な曲線のフォルムを形成し、そこに塗られた青色の塗装が清楚な品格を醸し出している。この楽器からは、スチュワードの卓越したデザイン能力を窺うことができる。
(武蔵野音楽大学楽器博物館所蔵)