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武蔵野音楽学園

マホラトゥック

薗田 治子

タイ 直径54cm

マホラトゥックは、タイにおける「銅鼓」の呼称である。銅鼓は中国南部から東南アジアにかけて広く使われる青銅製の太鼓で、その起源は紀元前にまで遡る。この楽器が他の楽器と異なるのは、その研究がもっぱら考古学的観点によりなされてきたところにある。

銅鼓は古いもので紀元前400年頃からその用例が見られる。最初の研究はドイツのマイヤーによるもので、彼は1884年に『東インド諸島からの古代遺物』を発表し、その中で52点の銅鼓を取り上げた。その後、1902年にウィーンのヘーガーは165点の銅鼓を大きく4つのタイプに分類し、この分類を皮切りに銅鼓の歴史研究が世界各国で始まった。銅鼓に刻まれた太陽紋や鳥紋などの具象紋、菱形や円形などの幾何学紋、さらに接着された蛙や象などの立体像などは、地域と製作年により特徴が異なる。そのため、この楽器の分類と編年の作業が、東南アジアの青銅器文化解明の有力な手掛かりとなった。銅鼓を通して、この地域の考古学資料に地域と実年代を特定できるからである。

銅鼓は現在でも儀器として新築、葬儀、治療の儀式などで使われている。演奏に際しては、鼓面が横を向くように紐で吊しバチで打奏する。この楽器は聖なる楽器として精霊が宿ると考えられており、そのために精霊を起こさないように普段は日常空間から離して保管され、しばしばその使用に先立ち供養の儀式が行われる。写真の楽器はヘーガー分類第Ⅲ式に属す典型的なタイの銅鼓で、17~8世紀のものをモデルにした20世紀の複製品である。鼓面の4箇所に置かれた蛙の立体像(写真)からは、この楽器と雨乞いの儀式との関連を窺うことができ、さまざまな儀式に使用されてきた銅鼓の歴史を物語る資料といえよう。(武蔵野音楽大学楽器博物館所蔵)