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武蔵野音楽学園

クロマティック・バスホルン

薗田 治子

シュトライトヴォルフ作 ドイツ 1830年頃 全長128cm

ピストンやロータリーなどで管長を変えるヴァルヴ・システムは、自然な響きを損なわずにさまざまな音高を得ることが可能で、多くの金管楽器に普及している。しかし、ベルリンのシュテルツェルがこのヴァルヴ・システムを発明する1815年より以前の金管楽器には、木管楽器のように管に穴を開け、キイを取り付けたものが多数見られた。このような楽器のひとつがバスホルンで、1790年代に、当時フランス革命の動乱を避けロンドンに避難していたフランス人、フリショにより考案された。

S字型の吹奏楽器セルパンの奏者であったフリショは、自然な体勢で楽器を構えられるように、セルパンを縦型に変えバスホルンを考案した。この楽器は主にイギリスの吹奏楽で人気を博したことから、イングリッシュ・バスホルンと呼ばれた。さらに1820年、ドイツのシュトライトヴォルフは、3~4キイしか装着されていなかったバスホルンに多数のキイを加え、無理のない運指で半音階が演奏できる楽器としてクロマティック・バスホルンを考案した。この楽器について、当時の音楽新聞は、すべての半音が澄んだ力強い音で演奏できると紹介している。

金管楽器にキイを付ける方法は、正確な音程の確保や音色の統一が困難なため、主に内径の大きな低音楽器に用いられた。バスホルンは、後に登場するオフィクレイドにその座を譲る。オフィクレイドは、キイを装着した低音金管楽器としては比較的普及したが、やがてヴァルヴ・システムを備えたテューバの台頭により姿を消した。バスホルンは、セルパンからオフィクレイド、そして現在のテューバ、ユーフォニアムに至る低音金管楽器セクションの発達過程を検証する楽器と位置付けることができる。(武蔵野音楽大学楽器博物館所蔵)