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武蔵野音楽学園

オフィクレイド

薗田 治子

ゴトゥロー作 パリ 19世紀中期 全長111cm

ベルリオーズ作曲「幻想交響曲」の第5楽章では、グレゴリオ聖歌から採用された有名な「怒りの日」のテーマが、重々しく鳴り響く。このテーマは現在テューバが担当するが、初演当初はオフィクレイドが使用された。

オフィクレイドは、1817年にパリの楽器製作家アラリが考案した、キイ・システムを持つ金管楽器で、名称はギリシア語の「キイの付いたセルパン(蛇)」を意味する。アルトからコントラバスまでの各種が作られたが、特にバスが普及し、軍楽隊や吹奏楽、オーケストラで使われた。スポンティーニのオペラ「オリンピア」(1819年)に初めて登場し、メンデルスゾーンやヴァーグナーもこの楽器のために重要なパートを書いている。

19世紀前半、オーケストラの金管楽器群にも豊かな低音が求められると、以前から軍楽隊で使われていたS字型の楽器セルパンや、その縦型のアップライトセルパン、さらに新しく考案されたオフィクレイドなどがその役を担った。しかしヴァルヴ・システムを採用したテューバが発明されると、豊かな音量と優れた表現力でそれらの楽器を駆逐し、19世紀後半にテューバはオーケストラに定着した。このテューバの台頭にオフィクレイドは姿を消した。

テューバは、オフィクレイドに比べはるかに大きな音量を誇る。現在、オフィクレイドのために書かれたパートはテューバで演奏されるが、その際に奏者は他の楽器とのバランスに配慮をしている。「怒りの日」のテーマにはファゴットが加わっているが、このファゴットの音をいかに隠さずに演奏するかが、オーケストラのテューバ奏者にとって腕の見せ所である。(武蔵野音楽大学楽器博物館所蔵)