概 要

武蔵野音楽大学楽器ミュージアムは、古今東西の楽器を一堂に集めた博物館です。所蔵資料には、西洋楽器の名器や希少な歴史資料、日本の伝統楽器、世界各地の民族楽器のほか、エジソン蝋管機やオルゴールなどがあり、その総数は5,700点を超えます。
館内は、「鍵盤楽器」「管弦打楽器」「日本の楽器」「世界の民族楽器」の4つの独立した展示室に分かれ、それぞれ異なったデザインで演出されています。
武蔵野音楽大学は、楽器ミュージアムを通して、これらの資料を学内の教育研究に役立てると共に、一般に公開し、音楽文化の普及に寄与していきたいと思います。

The Musashino Academia Musicae Musical Instrument Museum features a wide collection of musical instruments from throughout the world and from all periods of history. Our collection contains over 5,700 pieces, consisting mainly of treasured, rare and historical musical instruments from the West, traditional Japanese musical instruments, and ethnic instruments from around the world, but also including a collection of  Edison phonograph cylinders and music boxes.

The museum is divided into four individual exhibition rooms organized into the themes of “European Keyboard Instruments”, “European String, Wind, and Percussion Instruments”, “Japanese Musical Instruments”, and “Various Musical Instruments of the World”, with each exhibition room featuring a different design and presentation.

 The Musashino Academia Musicae will utilize the museum’s collection for use in research and education  and open it for public access to contribute to the dissemination of musical culture.

【館長あいさつ】

楽器ミュージアム館長 福井直昭
楽器ミュージアム館長 福井直昭

 楽器は、人が音楽を奏でるための「道具」ですが、その姿、素材や音色、施された装飾等は、それぞれの地域性や民族性、時代性を細密に宿しているだけでなく、社会形態、まつりごと、儀式や宗教をも語ります。
 楽器の発達は、作曲家・演奏家たちにおける芸術的な心性と欲求、それに応えようとしてきた製作者たちの英知と精励の相互作用によるものであって、その背景には工業技術の革新があります。さらに、交易や侵略、布教活動、戦争などの多様な人類の交わりの中で、楽器もまた地域を越えて、各地の自然環境や生活文化、民族のもつ感性に順応し変容しながら、伝播してきました。
 すなわち、楽器には、より優れた機能を求める楽器製作者の技術、意匠をこらし楽器に工芸品としての品格を与える美術家の感性、そして民族や国の誇るべき伝統文化を楽器に託した人々の想いといった様々な要素が、おのずと反映されているのです。
 『武蔵野音楽大学楽器ミュージアム』は、このような楽器の持つ多面性について、その最大の特徴である幅広いコレクションの展示を通して、重奏的に語りかける博物館です。そして、楽器と音楽に関わる人びとの姿を発見できる時空間でもあります。地域別・種類別に分けられた「鍵盤楽器」「管弦打楽器」「日本の楽器」「世界の楽器」の各展示室には、古今東西の楽器のみならず、その理解の助けになるように、絵画や写真、人形なども添えられています。
 音楽と楽器の歴史を辿る時間的な縦軸と、地域を越えた広がりという空間的な横軸の双方を感じながら、おのおのの「楽器」の向こうに拡がる、人びとが織りなした深遠な世界に思いを馳せていただけましたら幸いです。

2022年3月
楽器ミュージアム館長 福井直昭
 

【沿革】

1953 (昭和28)年 福井直弘元学長がドイツよりヴィオラ・ダモーレを学生の研究資料として持ち帰り、楽器蒐集が始まる。
1960 (昭和35)年 ベートーヴェンホールに併設して、江古田キャンパスに「武蔵野音楽大学楽器陳列室」が開設される。 
1967 (昭和42)年 邦楽器研究家、水野佐平氏より、歴史的な邦楽器コレクションが寄贈される。これを機に、施設を拡大改組し、「武蔵野音楽大学楽器博物館」が開館される。
1978 (昭和53)年 入間キャンパスに楽器博物館が開設される。
1993 (平成  5)年 パルナソス多摩開設に伴い「パルナソス多摩楽器展示室」が開室される。 
2010 (平成22)年 楽器博物館開設50周年を迎える。
2021 (令和  3)年 江古田・入間の両楽器博物館を統合し、「武蔵野音楽大学楽器ミュージアム」と改称して、リニューアルオープンする。