徐々に実り始めた、音楽で生きるという思い
音楽好きな両親の影響で、物心がつく前からピアノを習っていました。中学校では吹奏楽部に入り、ファゴットを担当。ピアノの発表会や吹奏楽部の大会を通して、人前で演奏して誰かに音楽を届ける楽しさを知りました。高校進学に当たり、本格的に音楽の道に進もうと決め、兄が通っていた武蔵野音楽大学附属高等学校を選びました。
高校では、同級生がすごく練習をする子ばかりだったので、私もがんばらないといけないという刺激になりました。朝練習から始まり、授業後も最終のスクールバスが出るまでひたすら練習をしていた思い出があります。高校3年生の時には、東京ピアノコンクールで受賞することができました。他のコンクールで落選が続くなど、うまくいかない中で、楽しんで弾こうと吹っ切れたことが良い結果につながったと思います。
大学進学は、武蔵野音楽大学以外は全く考えていませんでした。高校生の時から江古田キャンパスの施設を使わせていただいていて、その素晴らしさを知っていましたし、福井直昭先生のレッスンを受ける機会もあり、先生に師事したいという思いがあったからです。

本番で萎縮した自分を支えてくれた先生と仲間
大学ではヴィルトゥオーゾコースに進みましたが、先輩方と比べても、私は決して余裕で合格したとは思っていなかったので、不安を抱え入学しました。しかも7月の最初の実技試験が30分の公開試験。大学のレベルの高さに驚き、それに追いつくために必死でした。
2年次には、ヴィルトゥオーゾコースの重要なコンサートであるニュー・ストリーム・コンサート(TOPPANホール)に初めて出演することができましたが、自分が選ばれたことにプレッシャーを感じたため萎縮した演奏となり、舞台裏で泣いてしまったことを今でも覚えています。
そんな私の支えになったのは、先生と仲間です。師事している福井先生は、楽譜の深い読み込みと熱い言葉で、私の洞察力・表現力を常に磨き上げてくださいました。また、音楽に真剣に向き合っている尊敬すべき仲間とは、本番前に弾き合いをするなど、切磋琢磨し互いに高め合ってきました。

憧れの舞台に立ち、人生最高の時を過ごす
こうした恵まれた環境により、3年次には、管弦楽団とグリーグのピアノ協奏曲を協演するソリストオーディションに合格することができました。そして迎えた東京芸術劇場での本番では、良い緊張感の中で楽しみながら演奏することができました。入学前には想像もしなかったコンチェルトの演奏は、この瞬間が終わってほしくないと思うほど最高の時間となりました。演奏が終わった後、福井先生からお褒めの言葉に加えて、「この幸せな日にこそ、喜ぶだけでなく、今日までのこと、たった今の演奏を振り返って、今後の糧としなさい」と言っていただいたことが心に残っています。
また、卒業時の学内や皇居内桃華楽堂の卒業演奏会も、それに勝るとも劣らない思い出です。オーケストラとの協演同様、夢の舞台であった両演奏会での演奏は、自分なりに4年間の成長を感じることができました。福井先生からも「高校時代の録音と比べてみなよ。全然違うから」とうれしい言葉をいただきましたが、怖くてまだ聴けていません(笑)。
卒業後は大学院に進学します。その後の進路はまだ決めていませんが、教えることが好きなので、演奏活動を続けながら音楽を教える立場になれたらいいなと考えています。そのために、大学院でも深遠な音楽に対峙し、自らの表現を追究し続けていくつもりです。
演奏学科 ヴィルトゥオーゾコース ピアノ専攻 4年
武蔵野音楽大学附属高等学校出身
曽田 美音さん
