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武蔵野音楽学園

ヘッケルフォーン

薗田 治子

ヘッケル作 1906年 ドイツ 全長112㎝

ヘッケルフォーンは、大作曲家ヴァーグナーの提案により、ドイツの楽器製作者ヴィルヘルム・ヘッケルが考案した、バリトン音域のダブル・リード楽器である。

1905年に書かれたヘッケルの手記によれば、1879年、バイロイトに滞在していたヘッケルに、ヴァーグナーは「オーボエより1オクターヴ低い音域において、オーボエのように柔らかな音色で、アルプホルンのように力強い音を持つダブル・リード楽器が欠けており残念に思っている」と話した。この言葉に23歳の若きヘッケルは創作意欲を掻き立てられた。彼はそのような楽器には大きな空気柱が必要と考え、1904年に広い円錐形の内径を持つ新たな楽器を完成させた。しかし、ヴァーグナーはすでに世を去っていた。この楽器が初めて使用されたのはリヒャルト・シュトラウス作曲のオペラ「サロメ」で、この作曲家はヘッケルフォーンを高く評価し、オペラ「エレクトラ」や「アルプス交響曲」などでも活用している。ヘッケルフォーンはその後ヒンデミットや現代作曲家らにより使用されたが、それほど普及せず今日に至っている。この楽器はバス・オーボエの代用としても使われ、ホルスト作曲組曲「惑星」の演奏で、しばしばその例が見られる。現在までに約150本が製作され、1955年以降はほとんどがコンセルヴァトワール方式のキイシステムで作られている。写真の楽器はドイツシステムで作られた初期の希少な資料である。(武蔵野音楽大学楽器博物館所蔵)